爆裂BOX

月下の恋の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

月下の恋(1995年製作の映画)
3.7
超心理学の研究家デヴィッド教授はインチキ交霊術などを暴いていた。幽霊に悩まされているという老婆の手紙を受け取った彼はその屋敷を訪れるが、そこにはクリスチーナという美しい令嬢と二人の兄が住んでいた…というストーリー。
イギリスのホラー作家ジェームズ・ハーバートの原作を映画化したゴシックロマンスホラー。劇場公開時はこのタイトルでVHSは原題の「ホーンテッド」に、そしてDVD&BDでは最初のタイトルに戻りました。
幼い時に双子の妹を失い、その死に責任があると後悔と罪悪感を感じ、それ以来超心理学の道に興味を持ちインチキ霊媒師を暴いてきた主人公デヴィッドは、幽霊に悩まされるというウェップ老婦人の手紙を受け取り、彼女のいる屋敷を訪問し、彼女の事を「ばあや」と呼ぶ令嬢クリスチーナと二人の兄と出会い、クリスチーナと恋に落ちるもやがて屋敷の中で怪現象に遭遇し衝撃の真実を知るという内容です。
インチキ交霊術を見破る事を生業にしている主人公が幽霊に悩まされるという手紙を受け取り、訪れた先で怪現象に遭遇するという展開は「アウェイクニング」彷彿しますが、あの作品は本作の影響強く受けてるんでしょうね。
終盤まではホラーよりもラブロマンスの色合いが強い作品になっています。その合間に挟まれる怪奇現象も部屋をノックする音や、突然つむじ風が起こり移動するそれが段々人の形をしていったりといった具合で怖さはそんなにないですね。蝋族を落として床に小さな火がついて踏み消しても消えず、次第に大きな炎になって部屋を包み込んでいくシーンは迫力ありました。
今作の大きな見所の一つはまだまだ初々しさの残るケイト・ベッキンセイルですね。「アンダーワールド」シリーズの様なクールビューティな感じじゃなくて、奔放で無邪気なクリスチーナのキャラもあって少女のような可愛らしさ感じさせる印象です。序盤の方でいきなり主人公の前で服脱いで全裸で湖に飛び込んで泳いだり、ベッドシーン披露しますが、どうやらボディダブルのようですね。
全体に漂う耽美的なテイストも見所ですね。妹の裸婦画を描きながらキスしたり兄との妖しい関係も漂わせます。
初めは冷静に人間の仕業と思っていたデヴィッドが怪奇現象や幻覚を見て次第に追い詰められていく展開も良いですね。
終盤で明らかになる真実はウェップばあやの反応などから薄々予想は出来ますね。用済みだとばあやを始末したり、主人公を呼んで怖がらせていたぶったのも彼らは悪意あるゲーム感覚でやってるんでしょうね。「彼女」も急に小悪魔な感じから邪悪な雰囲気になる所も良かった。この終盤は急にホラー感増してきます。
妹に助けられる展開も予想できましたが、そこから主人公が許しを与えられて救われるのもベタながら良いですね。
ラストの不穏さも好みでした。「彼女」は今度は主人公に付き纏っていくのか。
怖さは少なめですが、全体を覆う雰囲気が良くて楽しめたゴシックホラーでした。原作はもっとホラーよりで続編もあるそうですね。