スギノイチ

やくざ坊主のスギノイチのレビュー・感想・評価

やくざ坊主(1967年製作の映画)
3.0
タイトルだけで大体の内容は掴めてしまうが、勝新の生き生きとした暴れっぷりが楽しい一作。
全体の雰囲気は、『座頭市』世界に『兵隊やくざ』の大宮をブチ込んだという感じ。
女郎遊びや丁半博打、大人数のやくざ相手の勝新無双等、両シリーズの美味しい所を取っている。
藤村志保も『座頭市』とは印象が違って新鮮。(最初は時を越えて小雪が出演してるのかと思ったが)
ラストは『座頭市地獄旅』よろしく成田三樹夫との一騎打ちだ。

この手の主人公にありがちな「何だかんだ善い人」ではなく、結構本気で悪人なのが良い。
食いたいだけ食い、ヤりたいだけヤる。ゴロツキに絡まれると「引導渡すのも坊主の務め!」と大喧嘩。
乗っ取った寺を勝手にラブホ化し、覗き部屋を開設し荒稼ぎする等やりたい放題。
やくざから娘を救ったりと、たまに坊主らしい事をしたと思えば、謝礼として体を要求し処女膜をぶち破る始末。
竜全は悪事の前には白々しく念仏を唱える。お釈迦様のお許しが出たと勝手に判断し大暴れするのだ。
陰性の『不知火検校』とは対照的な陽性の悪人だが、勝新の持ち味が全開だ。
(頭を丸める前の、荒くれロン毛ルックが哲学者みたいで格好良い)
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