emily

14歳のemilyのレビュー・感想・評価

14歳(2006年製作の映画)
3.5
14歳の時飼育小屋の放火を疑われ先生を彫刻刀で刺してしまった深津は12年後先生になる。精神科に通いながらなんとか生徒たちと繋がりたいと奮闘するも上手くいかない。一方12年前事件に出くわした男子生徒は測量の仕事をしながら深津の生徒にピアノを教えており、昔の自分を思い出す

 14歳の少年少女達、そしてかつて14歳だった男女が繰り広げる群集劇。辛い記憶は消したいはずなのに、深津は14歳の止まった時間の中に生きており、”今”の生徒たちの中に自分を探している。暗くざらついた色彩の中、閉鎖的なカメラ、アップを多様し、揺れる心情を揺れるカメラで表現する。早い切り替えとBGMに少年の下手なピアノの調べが流れる。

 かつての14歳だった者たちは、体は大人になれど心までしっかり大人になっている訳ではないが、かつての14歳が今の14歳を理解することなど到底できない。それは14歳の者たちも同じである。だからこそ少年少女が理解できる態度を示す必要がある。唐突に暴力をふるう教師、いい人ぶって寄り添おうとする深津。結局は大人なんだ・・自分が14歳の時一番言われたくない言葉を平気で吐いてしまう。

 そしてそれが傷づける言葉であることに一切気が付いていない。テンポよくシーンを切り替えて、”ヒリツキ”だけが全面に出てくる。深津の言うゼロか100か。生徒たち、子供達と向き合うなら100でやらなくてはいけない。そうでないなら関わるな。向き合った以上最後まで責任をもたなくてはならない。最後にはほんの少し希望を残す。向き合うと決めたなら、それは最後まで責任をもって貫かなくてはならない。
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