K助

ザ・インターネットのK助のレビュー・感想・評価

ザ・インターネット(1995年製作の映画)
2.6
Windows 95が発売された年に公開された作品。当時はまだ珍しかったネットの世界を舞台にした、社会派スリラー。

サンドラ・ブロック演じる主人公は、有能なセキュリティ・プログラマー。ある日、知人のプログラマーからフロッピーディスクでデータを送り付けられる。そのディスクにはとある音楽サイトが収められており、画面下に表示されるΠマークをクリックすると、本来ならアクセス出来ない筈のサイトにアクセス出来てしまう。しかし、主人公にフロッピーディスクを送ったプログラマーは、会いに来る途中で事故死。主人公は自分の個人データを書き換えられ、追われる立場となってしまう。その背後には、強固なネットセキュリティを提供する「ゲートキーパー」というソフトウェアと、政府が絡んでいて…。

PCの画面で遊ばれているゲームが『ウルフェンシュタイン3D』だったり、出て来るコンピュータがApple ComputerのQuadra 800だったり、とオタクには何かと感慨深い映像が(笑)。
今となっては道具が古臭過ぎたり、ウェブサイトの扱いがアプリケーションと同じだったりと変な点も目に付きますが、「保存された個人情報が操作され、自分を自分と認めてもらえない」「自分が誰だか証明出来ない」という恐ろしさは、何でもかんでもデータ化されオンライン接続が要求される今にこそ、実感出来るのではないでしょうか。

主人公が引き籠りかつ身勝手なので感情移入しにくいところもありますが、主人公を追い詰める敵の行動が「ネットデータの書き換え」で統一されており、それによって友人や協力者まで殺されていく、という恐ろしさは、なかなかのものです。
エンディングを迎えても、全ての謎が明らかとなり解決される、というようなものではないので消化不良感もありますが、ネット社会の怖さは、上手く描けていたと感じました。
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