【自然の中に食料はない】
16世紀の南米を舞台に、スペインの探検隊がエル・ドラド(黄金郷)を求めて太平洋側から山脈を経由してアマゾン川の支流付近に降りていき、彼らの一部がアマゾン川支流にいかだで乗り出していくお話です。
見どころはやはりアマゾン川支流の原始的な景観、そしてその中で黄金郷を求めながらしだいに狂気に陥っていくスペイン人たちの姿でしょう。
驚いたのは、若い婦人や女の子まで一行に加わっていたことです。探検隊というと成人男性だけで構成されるのかと思っていましたが、この辺の考え方が当時は今と違っていたのか、ちょっと説明が欲しい気がしました。
途中での現地人との戦いややりとりも興味深いのですが、内部崩壊してゆく探検隊の人間模様がこの映画のいちばんの根幹をなしています。今の目で見れば彼らの思い込みのおかしさは一目瞭然ですけれど、場所や状況を変えればわれわれだって同じようなことをしているのかもしれないのです。思い込みに捉えられた人間がどう振舞うものなのか、そういう集団がどういう過程を経て崩壊していくのか、他人事ではありません。
それから、アマゾンの自然の中で食料が尽きていくところも怖い。自然の中なら、例えば川魚だとか森の中の木の実だとか食料がそれなりにありそうな気がしますが、実際はそうではなく、現地人の襲撃より飢えのほうが敵として恐ろしいのです。
農耕というものがわれわれにとって何であるか、この映画は教えてくれているのだと思いました。黄金郷とは、食料がふんだんにある場所、なのではないかと。