アニマル泉

けものの眠りのアニマル泉のレビュー・感想・評価

けものの眠り(1960年製作の映画)
4.2
鈴木清順の社会派サスペンス。企画・水の江滝子、原作は菊村到の週刊読売連載小説、助監督は武田一成。白黒 日活スコープ。
「誰もが持っているけものが眠りから覚める」香港から帰国して失踪した会社重役・芦田伸介を追う娘・吉行和子と恋人の記者・長門裕之は新興宗教を装った麻薬シンジケートと対峙する。上記は長門が芦田に対して言うセリフ。
清順初期のカッチリとしたサスペンス。テンポがいい。前半の場面の飛ばし方が上手い。縦構図や横移動を意識している。クレーンも珍しく使っている。長門と吉行が一晩張り込んだ朝にパトカーが来るとクレーンアップして、縦道の手前にパトカーが到着して奥のタクシーから長門が駆け出してくるショットが鮮やかだ。大胆な構図もある。吉行が芦田が実は退職したと聞かされる場面は画面左側半分が波打ちガラスの吉行のシルエットのツーショット、退職を知るとガラスから吉行の顔が出てくる。長門と吉行はフレッシュ、芦田が好演している。山岡久乃、小沢昭一、西村晃、信欣三、野呂啓介、曲者が周りを固めている。
睡眠薬が重要。ラストのプロパンガス爆発は壮絶だ。
アニマル泉

アニマル泉