チッコーネ

けものの眠りのチッコーネのレビュー・感想・評価

けものの眠り(1960年製作の映画)
3.7
『密航0ライン』同様、文屋の長門裕之を狂言回しに活用した清順流ノワール。
長門をはじめ芦田伸介、吉行和子、山岡久乃…、あまり好きな俳優群ではないが、演出の力で全員が魅力的に見える。
短いランニングタイムに配慮したスピーディな編集が小気味よいほか、ふんだんに盛り込まれた臨場感豊かなロケ撮影や、上澄みをうまくさらった闇社会の片鱗が刺激的。
特に新興宗教と、楠侑子演じる悪女の存在感がどす黒くてゾクゾク…、カフスに忍ばせたカミソリという凶器も怖い!
クライマックスの火事場撮影は合成なのだろうか…、また回想場面にたびたび用いられる、奇妙な編集技術も印象的。