滝和也

大空港の滝和也のレビュー・感想・評価

大空港(1970年製作の映画)
3.8
空港…それは
多くの人々の思い
が行き交う
人間交差点…

雪の大空港の一夜
を通して起こる悲喜劇
を描く…

「大空港」

70年代ハリウッドを席巻したパニック映画の元祖と呼ばれた群像劇にしてアクション作品。アクションの度合いは低めなものの、数多くのスターを起用し、それぞれのストーリーを描き、それが交差するグランドホテル形式を取入れ、高いドラマ性を誇る。原作の素晴らしさもあるが、確か上下巻の長さだったから…巧みに纏められた脚本の良さもあるだろう。グランドホテル形式と大掛かりなパニックモノは相性が良い事を証明した点は圧倒的に後世に影響を残している。

空港のマネージャーであるバート・ランカスターが主演。その部下の秘書にジーン・セバーグと現場屋のジョージ・ケネディ。皮肉屋のパイロットにディーン・マーチン。その飛行機のCAにジャクリーン・ビセット。彼らがメインとなり、そこに望まれない乗客が現れ…と言う展開。無論彼らにも男女の仲のドラマはあるのですが…この乗客側が演者としては印象に残ります。

まずヘレン・ヘイズ演じる無賃乗車の常習者であるおばあちゃん。可愛げがあるコメディリリーフです。そして事件を起こすヴァン・ヘフリンとその妻役モーリン・ステイフルトンの二人の悲しけな演技が素晴らしいんです。特に妻役のモーリンの演技が素晴らしくて印象に残ります。

アクションは少なめとしましたが、この作品、飛行機に穴が空いたらどうなると言う点も提示して、その後のアクションの定番にもなります(笑)果たして飛行機は持つのか、閉鎖された滑走路は間に合うのかと言う内容に進む訳です。

この作品を見て、過去見たタワーリング・インフェルノを思い出すと正にグランドホテル形式のプロットを活かしながら、より工夫されていったことが分かります。故に今作はパニックモノの始祖であり、パニックモノは高いドラマ性がないと難しいことも同時に示したお手本となる作品だと思います。オススメですね。
滝和也

滝和也