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関東流れ者のodyssのレビュー・感想・評価

関東流れ者(1971年製作の映画)
3.0
【鶴田浩二と藤純子】

明治時代の関東を舞台にした任侠映画。
鶴田浩二のヒーローは、かつてヤクザであるために婚約者(小山明子)と引き裂かれたというつらい過去を持ちながらも、北関東の新天地で新たに土建の商売を始めるという設定。

鶴田の弟分で大木実、兄貴分で村田英雄が出ています。村田英雄は一般には歌手として有名ですが、この手の邦画にもわりに出ていますね(ウィキによると30本)。

他方、北関東の当地では悪徳業者がすでに根を張っていて、鶴田浩二の新規参入組の邪魔をします。しかし悪徳親分には可愛い令嬢がいる。これが藤純子。

もっとも、彼女は最初、男女平等を路上で説いていて、面白半分の聴衆からバカにされるという登場の仕方をします。まあ明治時代だし、特に藤純子みたいな若い美人が女権論を街頭で説いていたら、そりゃ嫌がらせも受けますよね。

任侠映画だから全体の筋書は想像がつきますけれど、主役の鶴田浩二はあくまで静、動の部分は弟分の大木実が多く受け持つという構造です。

ヤクザ上がりながら穏やかな表情で淡々とことを進める鶴田浩二の雰囲気と、当時二十歳前だった藤純子の初々しい魅力で楽しむべき映画になっています。
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