KnightsofOdessa

カビリアのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

カビリア(1914年製作の映画)
4.9
[「イントレランス」の原点、サイレント映画史に燦然と輝く忘れられた大傑作!] 99点(OoC)

リビアでの戦争に勝ったイタリアは歴史的叙事詩を映画化し始め、遅ればせながら映画史に名前が残り始める。その中でも最も革新的でかつ成功したのが本作品である。本作品はグリフィスの目に留まり、製作中だった「母と法」を「イントレランス」に作り変えてしまった。また、本作品の持つ圧倒的なセットのエネルギーは世界中の映画監督を熱狂させ、特にラング「ニーベルンゲン」なんかは本作品と似たシーンが多く含まれている。また、後世にも影響を及ぼし、フェリーニは「カビリアの夜」で名前を取っている。

本作品はエトナ山の噴火によって裕福な両親と離れ離れになった少女カビリアとそれを助けたローマ軍人フルヴィウスの物語であり、どちらかと言えば後者中心で物語は進んでいく。物語の構成は勿論のこと、やはり巨大なセットと膨大なエキストラによる”画”の熱量がそこいらの映画とは比べ物にならない。最も有名なシーンはモレクの神に生贄を捧げる寺院のシーンだが、それ以外のエトナ山噴火シーンやハスドルバルやシュファックスの宮殿のシーン、太陽光反射鏡の海軍殲滅シーンなど豪華絢爛かつ超巨大な”画”には驚かされっぱなしだった。グリフィスがイタリアにマウントを取られることを危惧してハリウッドにバビロンを作ったのも頷ける。

ハラハラドキドキの歴史スペクタクルという括りに属するのだろうけど、この時代の”絵画芸術と映画の融合”というメインテーマに沿った荘厳なる芸術無声映画でもあるのは好ましい。ただ、長い(158分)。
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