Ricola

ホブスンの婿選びのRicolaのレビュー・感想・評価

ホブスンの婿選び(1954年製作の映画)
3.8
家父長制、階級差別への皮肉がたっぷり込められた作品。
自分勝手なホブスンは妻を亡くし3人の娘と暮らしている。靴屋の看板を自分の名前で掲げているが、実質的な経営者は長女のマギーである。ホブスンは昼頃に起きてパブに出かけ仲間と飲む毎日を送っているだけなのだ。


マギーによる復讐劇は戦略的で緻密であり、彼女の妹2人の恋愛などの他の問題もうまく片付けてしまう。何もかも計算通りに自信を持って物事を進めていく。少々強引ではあるが、彼女の言う通りにしていれば万事うまくいくのだからすごい。

階級の差が空間の上下に表されている。
靴職人は店の地下で作業をしており、マギーとウィリーが出した最初のお店も半地下にある。また、マギーがウィリーをデートに誘った際、公園のベンチにアリスが弁護士の彼と座っているところを横目にマギーは階段を降りていき、ウィリーと落ち合う。高いところから低いところへと自ら向かっていくマギーは、労働者階級の違いなど当時の常識を超えて完璧な選択をし続ける。
そして、酔っぱらったホブスン氏はマギーの予想通り地下倉庫へと落っこちる。ホブスン自身は思いもよらぬ形で文字通り転落させられるのだ。

父への復讐がおのずと封建的なあり方を否定し壊していくことになる。
笑いをかなり交えながら徹底的に改革をしていくマギーと彼女に巻き込まれたウィリーらの物語はとても爽快だった。
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