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60歳のラブレターのmikumiku1188のレビュー・感想・評価

60歳のラブレター(2009年製作の映画)
4.0
初老の男女が歩む第二の人生のスタート。

映画を見た時の印象と云うものはその時の見る者の感情などで大きく印象が変化してしまう事を改めて感じた作品でした。二年前に鑑賞した時は主人公の橘夫妻の夫婦の在り方に納得できず、嫌悪感すら感じてしまい確か途中で見るのをやめてしまった記憶が有ります。30年間も家庭を顧みず外に愛人を抱える夫。離婚した後にすぐ若い男の誘いに乗る妻。裕福な家庭ではこんな事が・・。映画の上の話ではありますが許せない話でした(笑)。

今回本文のコメント記入していなかった事も有り再鑑賞してみました。橘夫妻のエピソードは私の生活とはかけ離れた世界の話でやはり、それほど印象には残りませんでした。多くの方も同じ様ですが私も魚屋夫妻のエピソードに強い感銘を受けました。小市民の代表の様な二人が夫の糖尿病に打ち勝つべく口の悪さの中愛情あふれる暮らしを送っていた。しかし夫の通院中に妻にも脳腫瘍の症状が見つかってしまう。手術を受けた妻のベットの前で無事目覚める事を願ってイッセー尾形さんの歌う『ミッシェル』。
良かったです。この歌は私も青春時代に口ずさんだ曲で聞きながら涙を堪えられませんでした。身につまされる切実な夫婦の危機。手術室に向かう妻へのかけた言葉『俺より先に行くなよ!!』と共に印象的なシーンです。

その他妻に先立たれた医師の恋愛のエピソードで反対された中学生の娘に掛けられた言葉などこの作品で全体的に受けた印象ですが、男は女性の優しく強い愛に支えられて生きていくのだという事です。

確かに独身者の方がこの作品を見られたら結婚なんて、男の生き方なんてと疑問視される事も有ると思いますが60歳と云えばまだ人生の折り返し点。
新しいスタートを切るべき世代なのかもしれません。
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