midored

風が吹くままのmidoredのレビュー・感想・評価

風が吹くまま(1999年製作の映画)
4.0
田舎のお葬式を撮るために都会から撮影クルーが訪れる。ところがお目当てのお婆さんがなかなか亡くならず、待機しながら、なりゆきで村の人々と関わることになるお話。

のんびりとした時間のなかで、人や家畜、虫や鳥、植物が分け隔てなく生きていました。甲羅の欠けた亀とフンコロガシと、暗闇で乳を搾られる牛が印象的でした。

主人公はいささか不謹慎な目的で村を訪れているし、物事が予定通りにゆかず苛立ってもいるから、そんな鄙びた風景から少し浮いているのですが、最終的には人の生き死にに巻き込まれるようにして溶け込んで行きます。

金色にたなびく麦畑の道を、村のお医者さんのバイクの後ろに乗って走る場面がとりわけ美しい。お医者さんはこう語ります。

死は最も残酷だ。神様が私たちのために用意してくださったこの美しい世界が見れなくなるから。

本当にそうだと思います。
midored

midored