『風が吹くまま』を再鑑賞する。車が道が人生に準えられ、また人に準えられる。アッバス・キアロスタミによるロードムービー。この監督が撮る映画は人情に満ち満ちていて、ぐっと惹き込まれる。風が吹くままに人々は暮らし、風が吹くままに人生は続いてゆく。イランの片田舎の道なき道を車はゆき、人々と出会い、言葉は紡がれ、この作品を観るイランの人々に何か形のある助言を与えてゆく。映画っていうのはその当事者じゃないと分からないもの。あくまで部外者の僕はそんな彼らの感情や生き方を類推するしかない。日本ではこういう映画は撮れない。イラン独特の人々の温かさがゆえ。