海

風が吹くままの海のレビュー・感想・評価

風が吹くまま(1999年製作の映画)
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生き物は温かくて自然は美しくて死とはおそろしくて川は海へと続くであろう、それらに時に驚いて足を止めたい、自分の中に流れている時間をとどめたい、この先を急がなくていいのなら、いくらでもいつまでもこの世を見ていたいのだ。そっと寝かせた砂時計のように、いいえ本当は砂漠の重く滑らかな砂のように。砂漠はまるで肉体の緩急、風が吹くままに舞いあがり整えられゆくあなたの呼吸、水の青を裏返す橙、季節を撫でさする稲穂の膨らみ、呼びて留めるベルの声。私を守りたまう神は、石の礫からガラスも守る。まぶたが落ちるほど心地いい風は、君の一服くらいで汚れやしない。
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