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アレクサンドリアのakiyoshiのレビュー・感想・評価

アレクサンドリア(2009年製作の映画)
2.0
フェミニストアイコンにもなることがある女性哲学者・研究者ヒュパティアを題材にした映画。なのに物語は彼女や女性たちを中心にできておらず、彼女の周辺の男性たちの内部を描くのに尺が割かれます。せっかくヒュパティアが出てくるのに、主題がうまくまとまらずにばらけている印象を受けました。ヒュパティアが社会情勢にあまり関心を向けず、どんな危機的状況にあっても研究のことで頭がいっぱいなので、キリスト教布教に伴う激動の時代(スペクタクル史劇の部分)と女性の状況がうまく絡められなかったのかな。10年以上前の映画ですしね。
研究に一途なヒュパティアの姿自体は、クィア性も感じてよく描けていたように思います。彼女の存在だけ浮いているのですね。それが狙いかもしれませんが、それにしても、あまりに周囲の「政治と無関係」でありすぎる存在に描かれている。いまの時代ならもっと、周囲の環境と地続きにヒュパティアの状況を描けたと思います。性的な触れ合いを求められるシーンはちょっとこのテーマだと不要だったとも感じました。

史劇部分、宗教の布教の歴史に暴力があり、社会の中の身分階級や女性差別があったとか宗教への転向の手口とか、図書館を守ろうとする学者とか、そのあたりはよくできていたと思います。ちょっと登場人物の肌の色が薄すぎたのが気になるところです。肌の色が濃いひとも数人出てきており、1名は上流階級として登場はしました。
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