FRANCIS

アベンジャーズのFRANCISのレビュー・感想・評価

アベンジャーズ(2012年製作の映画)
2.6
MCU6作目にして初の単体ヒーロー集合作品、フェイズ1最終作、そして全世界にマーベルブームを巻き起こした記念碑的作品

監督に抜擢されたのはエイリアン4、X-men などの脚本で知られるジョス・ウィードン、配給はパラマウントからウォルトディズニースタジオへ変更

まず、全体の流れからすると絶対にコケると言われていた企画をウィードンは破綻寸劇で2時間20分でよくまとめている。実に巧みだ。だがその巧みさの中には様々な欠陥を孕んでいることも否定できない。

まずは配給がディズニーになったことで露骨なファミリー化戦略が見え隠れすることである。ポップさやコミカルさが増えたことやサウンドのMCU特有の個性が失われたことが非常に残念。
アイアンマンではハードロック、ソーではケルト音楽、キャプテンアメリカでは軍楽を取り入れた素晴らしいサウンドを生み出したMCUも本作ではそれらが殆ど生かされておらず、登場時のインパクトを十分引き立てられていない。シルベストリのアベンジャーズのテーマ曲はとても良いだけに惜しい。昨年度散々に言ったジャスティスリーグではバットマン、ワンダーウーマン登場の際にお馴染みの音楽が流れ、キャラの登場を強く印象づけられたこととは対照的である。

次に大スター、ナタリーポートマンの降板である。ナタリーの妊娠による降板により、ソーのパートのドラマ性が軸を占めの宿敵ロキという構造が崩れ、トニー役のダウニーJrのパートだけが異様に多いことのアンバランスをもたらしている。それがトニーの周りを中心とするウルトロンような話なら納得が出来るが、ソーの周りを中心とする宇宙規模の本作では少し違和感があった。

また、悪役のロキもマイティ・ソーにおいてのシェイクスピア劇の悪役を思わせる影のある知的なキャラからセコく狡猾な小悪党へと後退していることもマイティ・ソーに比べてのキャラの後退を感じられる。またチタウリ集団の弱さと魅力の無さが群を抜いている。

また前半のヒーローの内輪揉めパートの長さや後半のニューヨーク決戦の民間人の犠牲の描写の無さや、快男児ソーの描きの弱さが強弱のメリハリやケレン味の欠如と大味さを感じさせる。

以上のように長くに渡って欠点を挙げ続けてきたが他の部分は非常に面白く、強弱のバランスが絶妙なチームのパワーバランスやコールソンの死で結束するチーム、コミックから飛び出してきたようなアッセンブルの配置、シュールな中東料理を黙々と食べるラストなどは至高である。

お祭りというイベントとしては最高の一本だが、惜しいところも多いと感じる
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