垂直落下式サミング

メカゴジラの逆襲の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

メカゴジラの逆襲(1975年製作の映画)
3.5
地球侵略を狙う宇宙人の手によって、さらに強力な武器を持ってメカゴジラがよみがえった! さらに、異端の博士が操る新怪獣チタノザウルスまでも参戦。恐ろしい怪獣がゴジラを葬らんと暴れまわり、地上は壊滅の危機に陥る。
この映画は、ゴジラから気持ちが離れていた時期に義務感でみたから、内容を覚えていなかったが、まあ、こんなんじゃあ、覚えてないわなって感じの内容。
例によって、過去に学界を追われた博士が世界そのものを憎んで、巨大恐竜チタノサウルスを操ることで破滅的な自己実現をなそうとするのだが、ドラマパートをこの人の葛藤を中心に引っ張れるだけの推進力はない。
博士の娘が、「大勢のひとたちの命を奪うのね。キングギドラやマンダやラドンのような…。チタノサウルスもあんな怪獣の仲間入りをするのね…。」と寂しそうに言うのだけれど、え、ちょっと待って!キングギドラは悪者でいいとして、マンダとラドンはそこまで悪いやつじゃなかった気がするんだけど。
あの世界の怪獣たちの事情を知らない人が、テレビ・ラジオの報道のみから情報を得ていたら、そう感じるのかもね。にしても、マンダとかは、わりと無害なやつだと思うんだけどな。『怪獣総進撃』のゆ~っくりモノレールのレールに巻きつくマンダと、アホヅラで飛び立つラドンが、回想で流用されている。かわいい。
肝心の撮り下ろし戦闘シーンは、かなりちゃちい。チタノサウルス上陸シーンは、特撮の粗を誤魔化すためなのか、急に薄暗くなる。なんか、ミニチュアの寸尺間違ってるくない?トリックアートくらい不自然。
本多猪四郎最後の劇場用作品なのだけど、栄華を誇った怪獣カルチャーの黄昏を感じずにいられない最後の出汁を搾り取ったような出来。クライマックスでは、めっちゃたくさん火薬を使う!しっかりと派手さはあるんだけれど、人死にが出た上でしんみりと終わるから、エンタメとして後味悪め。
これにてゴジラは一度、休眠することとなる。タイマンじゃなくなると終わる。似たフォルムのヤツと戦いはじめると終わる。魅力的な新怪獣が出てこないと終わる。初代のイズムとかけ離れ過ぎると終わる。以上が、ゴジラ映画の人気が下火になって、シリーズの終幕がくるときのジンクス。今のところ、モンスターバースの最新作は、見事ぜんぶ当てはまっていて、なんか心配になってきてしまった。