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X-メンのsithmaroのレビュー・感想・評価

X-メン(2000年製作の映画)
4.0
アメコミヒーロー映画に見せかけた、人種差別と共存という社会的な問題を扱っている映画に思える。

ブライアン・シンガー監督と言えば今でこそアメコミヒーロー映画に多く関わってはいるが、当時は「『ユージュアル・サスペクツ』の監督がアメコミヒーロー物の映画を撮るの?」と驚かされた記憶がある。
サム・ライミ版『スパイダーマン』のヒットでアメコミヒーローの映画化のハードルが多少下がっていたとは言え、この作品の映画化というのはかなりの冒険だったのではなかろうか?

現在のMCU作品に見られるヒーロー映画のカタルシスは欠けているし、全体的にに暗くて重い。
しかし「大人がアメコミヒーローに夢中になったっていいじゃないか」という土壌を確率させ、アメコミファン以外の客層も取り込んだという点は大きな評価だろう。

しかし改めて見直すと、一作目はとにかく地味だ(笑)
ヒットするという確証もなかったから、手探りで作った感じが端々から見える。
主人公をサイクロップスではなく、ウルヴァリンにした点もそうだ。
原作からのファンとしてはシリーズを重ねるごとにサイクロップスことスコットの扱いがトホホな感じになってしまったのは残念だが、一作目の今作品ではそこまでではないし成功と言ってもいいだろう。
何より長身であることを除けば、ほぼ完璧に再現されたウルヴァリンの存在だけでも充分に評価できる。
(原作ファンとしては「あの髪型って実写で再現できるのか?」というだけでも驚く)

さすがにシリーズを重ねすぎて、全体を通して観ると矛盾だらけになってきてる感は否めないが今作品単体で観ると実に挑戦的で良い作品に仕上がっていると思う。
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