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飛べ、ペンギンのkissenger800のレビュー・感想・評価

飛べ、ペンギン(2009年製作の映画)
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俺が見る韓国映画だいたいムン・ソリかチョ・ジヌン出てる説。を再検討したくなる昨今、両者が出ているコレ。

4話オムニバス、って紹介されるせいで物語至上主義者(俺だよ俺)からは一枚下の扱いを受けるわけですけれど、や、そこ触れなければ気付かないひとのほうが多いんじゃね? ぐらいのシームレス編集でした。

・韓国の教育ママとは
・彼女の職場における「昭和」世代vs「Y世代」(2009年作品だから)
・昭和課長の悲哀は教育ママが牽引する家庭の後日談でもある
・なお課長の両親はいわゆる熟年離婚世代

という4エピソードに共通するのが「声あげなかったからずっといなかったことにされていた女性(が声を出したら社会に驚かれる)視点」で、ムン・ソリという「男性社会ウケする女優」を盾に物語を始めて着地はぜんぜん違う場所、どのぐらい違うって羽田発福岡行に乗ったのに富山で降ろされるぐらい。降ろされたところでどうすれば、みたいな顔になるやつね。
アクロバティックなこの展開、本当に隣国から見ている距離のおかげで気付けるやつで、あきらかに「オトコどもいいかげんにしろ」って怒りのメッセージなんですよ。上述あらすじからも分かる通り、ひとごとではない。

ヘテロ社会のシスジェンダー男性として、なんなら男尊女卑風土強い鹿児島出身両親の長男として、ものすごく下駄をはかせてもらって来た人生なので、こういう感想を抱くのは若干はばかられつつ本心だから言っておくんですが、いいぞ、もっとやれ。

……どうでもいい気付きとしては、食事風景で箸を振り回すひとに覚える違和感。
等しく大陸の影響下に育ってきた日韓文化圏なのに、発露の差異が如実にあらわれるところが興味深かったです。
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