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鉄男 THE BULLET MANのeyeのレビュー・感想・評価

鉄男 THE BULLET MAN(2009年製作の映画)
3.6
"鉄男" THE BULLET MAN (2009)

塚本晋也監督の作品 2作目
"6月の蛇" (2003) を観て以来の鑑賞

鉄男シリーズは
2019年5月に『立川シネマシティ』で
3作品を公開していた

『鉄男』(’89)
『鉄男Ⅱ BODY HAMMER』(’92)
『鉄男 THE BULLET MAN』(’09)

それぞれ1週間ずつリバイバル上映
残念ながら上映時期には観れなかったため

今回 個人的にリバイバル上映敢行

ローマ ファンタスティック映画祭で
グランプリを受賞した1作目の1989ver.を
チョイス予定も諸事情により断念

そこで 2009ver.を鑑賞

物語は金属に侵食されていく男の爆裂劇で
『アンガーマネジメント』を軸にしている

主人公アンソニーは日頃の鬱屈した
エネルギーを抑圧し続ける

劇中 最愛の息子 トムを謎の男に突如
車で轢き逃げされてしまう

突発的に生じた出来事に
"理不尽さ"と"憎悪"を抱く

後にそれが計画的犯行だと知り 更に怒る
そして"怒り" が "鉄"になって身体を纏う

劇中では息子が襲われたことを
過去の家族背景を丁寧に説明しつつ

主人公が鉄男となる理由も明かされる

観てる側はシンプルで非常に分かりやすい

焦燥感や銃火器での戦闘シーンではあえて
早回し映像にして不気味で不穏な音楽を乗せる

圧倒的な "爆音" が観て者を駆り立てる

ラストに向かうにつれて

"怒り"

をどんどん増長させるももはや暴発させるか
否かという点にハラハラさせられる

"怒り"は核兵器の如く世界を壊す
(都市を爆破させる)暗示が劇中に描かれる

妻や息子への愛の裏側にある
正体不明の敵への憎悪

暴力に対し暴力で返そうとする攻撃性

冒頭は妻が復讐心を燃やすも次第にそれを
上回る主人公アンソニーの怒りと鉄男化

妻は変貌していくアンソニーの
姿・形に次第に冷静さを取り戻す

謎の男が妻を人質に取った時点で
アンソニーの怒りは更に沸点を超え始める

『もう全てを犠牲にする!』

というところまで来た時点で
愛する人の声をしっかり聴いて

"憎悪対象(謎の男)を逆に呑み込む"

取り込まれた謎の男はアンソニーに

>お前の体内で暴れてやるからな

というメッセージを発信する

自分の中に巣食う魔物 = 怒り であり
それは常に自分の中にあることが伝えられる

コントロールが難しい怒りをあえて
受け入れたことで共生・共存することになる

降りかかる暴力に対し

・冷静さを失うこと

・攻撃的になること

・対立すること

様々な経験を経て自身の冷静さを取り戻し
心と体を一体化させる

問題意識の裏側にある感情を吟味して
破壊衝動を見つめて抑えこむ

まさしく『アンガーマネジメント』映画
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