CANACO

インファナル・アフェアIII 終極無間のCANACOのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

1、2のレビューと同文
-----
警察v.s.マフィアのスパイ対決。各組織に属する有能な人物が相手側の一味となり、信頼を勝ち得るほど上手く活動する。そこで「善」と「悪」の入れ替えが発生。

スパイもののハラハラ感はもちろんあるが、「善と悪の入れ替え」による心の葛藤を丁寧に描いているため、単なるスパイアクション映画ではない、奥行きのある人間ドラマ、香港ノワールとなっている。

香港映画らしい映像美、「踊る大捜査線」のような警察内部のやりとりと友情、「アウトレイジ」のようなヒヤリとする残忍さと「ゴッドファーザー」にも通ずるマフィアのファミリー観が弦楽器のように奏でられながら終わりに向かう3部作。
-----

「1の後、ラウはどうなるのか」がメインストーリーで、ヨンとシェンという登場人物が増えたことにより、またいろいろなエピソードが出てくる。3は葛藤し続けた結果、崩壊するラウの精神を丁寧に描いていくのだけど、そこはそこまで説明してくれなくてよかったという気持ち。

まあ結局、ラウ(アンディ・ラウ)はマフィア組織から警察に送り込まれたスパイで、裁かれるのは仕方がない。3部作通じて、ラウが女性にやさしい・オンナに弱いというというのはわかったけど、そもそもなぜずっとマフィア組織に尽くし続けるのか、その忠誠心の源は何かという説明は足りなかったように思う。
警察側であるヤン(トニー・レオン)の「善人でありたい」に対峙するような言葉があったらよかったな。

幕の内弁当なんだけど、期待していたおかずが入ってなかったり、テイストが違うおかずが山盛り入っていたりしてバランスが悪い。でもボリュームはあって蓋が閉まらない、みたいな勿体なさがありました。


[3の残念感]
・1の後の話だけでなく、1の少し前の話もところどころ挿入されるため、観ていて疲れるときがある。妄想シーンも必要性はあまり感じなかった。

・サービスカットであろう、ヤンがリー先生のもとに通っていた頃のシーンもたっぷり。リー先生に見せる極甘マスクの数々、しかもキスシーンまで。好みが分かれるところだと思うが、なくてよかったな。いや、需要があるならやってもいいけどスピンオフとして公開してくれればよかったと感じた。「花様年華」好きとしては、そこまで見せなくていいという思いがある。

・ヨンの演技は、序盤〜中盤わざとミスリードを誘っている感じがしてバランス悪く、2のハウが担った全体の引き締め役にはなれなかったという印象。

・バカのキョン君は健在だったけど、サムはアウトレイジ感が増していて、3部作通して見ると不統一感がある。
CANACO

CANACO