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インファナル・アフェアIII 終極無間のCBのレビュー・感想・評価

4.8
いやあ、こんなに面白い作品があるのかい。世の中捨てたもんじゃない。てっきり映像は想像力を制限するものかと思っていたけれど、それを逆手に取ったわけだ。つまり、ダークで魅力的で哀しい世界観を演出するためには映像は持ってこいって事だね。視覚的な刺激で脳に直接、情報伝達する。I, Ⅱの後にⅢを見ることでようやくストーリーは終わる。

気になった点もいくつかあるけれど、映画というのは時間の制約があるから、完璧を目指すのは難しい。小説みたいに、延々と描き続けられるわけじゃない。むしろ制限付きの中でこの完成度なのは素晴らしい。スタンディングオベーションしたい。

私が思うに、物語を終わらせるのは非常に難しい。始めるのは、意外と簡単なのに。物語を創る人の中に誰一人として、人生という物語の終わりを経験した人がいないからかな。人生のエンディングを経験した人には、物語を書くためのペンは握れないけどね。

エンディングをどう描くかは、これまでの伏線をいかに回収できるか腕の見せ所でもあるし、書いてる途中で辻褄が合わなくなって、仕方なく間に合わせの強引な伏線を入れると観客がうんざりしてしまう。開いた幕を隙間なく閉じる必要があるけれど、もたもたしてると飽きてしまう。難しいね。

総じて、この三部作は素晴らしい作品だ。思いがけない巡り合わせでこれらに出会えて、私は本当によかったよ。
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