カレーをたべるしばいぬ

少林寺木人拳のカレーをたべるしばいぬのネタバレレビュー・内容・結末

少林寺木人拳(1977年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます


どわぁぁあああ~~~ん(銅鑼)

まだ幼顔のジャッキーが父親の仇を探して少林寺拳法を頑張る映画。

■映像ですべてを理解せよ
全てセリフで説明したがる昨今の映画に対して、こちらは逆にほぼ!言葉での説明なし!というかジャッキー喋りません!無言!なんなら役名も分からん!彼はとある理由で話せないのですが、都合よく解釈してくれる人々に囲まれているので全く問題ありません。
この映画を見ると、細かな情報などなくても物語として見応えのあるモノが成立するんだという威厳すら感じます。

一方で、説明シーンは思わず笑えるくらい安っぽいです。ストーリーラインを正しく伝えたいがための必死感がすごい。分かったからもう大丈夫だよと言ってあげたくなる。

■かわいいジャッキー
キャラクター自体は良くも悪くも純朴な青年。ニコニコしていてほのぼのとした雰囲気がかわいい。でもムキムキで行動原理は復讐。

■意外にも笑いなし
終始真面目。ドタバタアクションコメディ!ではない。

■悪役は最後まで気持ち良く悪役
容赦のないところとか良いですよね。ひねりがないのが好印象。

■頷き
頻発するけどものすご~~く地味。5度くらいしか頷かない。でもリアル感あって好き。

■木人路
木でできた自動人形が大量に配置された廊下を通過する少林寺の最終試練。最初は密度そんなにだな…とか思ってると第2フェーズで密度上げてきたり、鎖で連結されているので一人倒れると他が迫ってくるとか、意外と大変さが伝わってくる。途中、穴倉を見やるシーンでは、主人公の弱さとの決別が伺えて大変良い。
タイトルに関係することもあってここがかなりの見せ場だと思うけど、通過(少林寺を卒業)した後もボリュームがある。

■熱い要素満載
最初は弱いけど、どんどん強くなる。複数の師匠に師事し様々な技を身に着け、それらを駆使して戦う。師弟関係の良さもあり、ブラザーフット感もあり。ちょっと酔拳要素もある。それぞれの要素をもっと掘り下げて1シーズンのドラマにしてほしい。

■地味だけど凄いアクション
当然高度なCGなどは皆無ですが、リアリスティックなダメージ表現が素晴らしい。その鍛錬描写だと確かにそこが擦れるよね、そうやって血が出て痛いよね、とか。それでいて疾走感のあるカメラワークや豊富な打撃音もあって、リアル感と脚色が上手いこと調和している。
そのような納得感のある表現に裏打ちされたアクションがやっぱり楽しいし、手に汗握ってしまう迫力を生み出している。
〇〇拳とか、覚えた技名を叫ぶことすらあまりないので明確ではないが、「あ、今のはあの時に習得した技だ」と何となく分かるのもすごい。そういう技が敵に効いてるシーンもアツい。

■言葉が少ないからこその感動
親の仇と敬愛する師匠が同一人物であると分かった時、そしてその男と対峙しなければならない時、純朴な青年の中で相反する感情が衝突し、叫びとなって生まれる。言葉はないのに、映像でそこまで食らってしまって心打たれました。ポスターもカッコいいね!

■総評
話の流れは単純なのに、言葉を使わない説明表現や物語の構成が良くてちょっと感動した。

■ラスト
ブレットトレインより、こっちの「因果だ…」

🙏阿弥陀仏🙏