タキチ

続 雷電のタキチのネタバレレビュー・内容・結末

続 雷電(1959年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

またも助っ人キャラが。
役人で歌人のお助けキャラがまた魅力的で、前作と同様太郎吉とおきんの仲をどうにか助けようとする。
それでも世間との折り合いをつける上でどうにも上手くいかなくなっていって噛み合わなくなっていく。
お互いの立てた誓い(大関になるまで会わない)のために会わずに会わずに、私とあんたはそれぞれ別の道を歩むという在り方。
その先に2人が一緒になる未来を思い描いていたはずだが、気づいた時にはすれ違い、しっかりと噛み合わなくなってしまう。

おきんが囚われた小田原の女郎屋に太郎吉が探しにきた時のシーンが凄かった。
太郎吉が、追っ手のヤクザをいなしながら一階から二階へ向かうのを、建物の外から撮っているカメラが下から上へと上がることで俯瞰した面白い映像になっていた。

一作目と二作目で共通している撮り方の一つに殺陣があったと思う。
刀を抜いて振るところまでは見えるのだが、斬り合うところが映らない。音と、やられた相手が吹っ飛んだり倒れたりするのに留まっている。
初めこの描き方を見た時に殺陣シーンのコストカットが理由かと思ったが、違ったかもしれない。
全編通して、相撲のシーンがしっかり撮られているからだ。土俵横、土俵内、力士が身体をぶつけ合うのをしっかりと映している。

相撲部屋の稽古シーンも何度も出てくる。大体、太郎吉に何か起きた後に稽古する様子が映される。
心機一転もしくは奮発して稽古に取り組む太郎吉と稽古場の野次(前向きな)が飛ぶ。

相撲部屋に関して思ったのは、常に周りに相撲部屋の人間がいることだ。土俵の造り上、当たり前かもしれないが、円があってその中で相撲を取る。その周りで人が見ている。本当にずっと周りにいる。
個人と世間が切っても切れないものであるということを示しているのではないか。

それが助けになる時もあるが、逆に太郎吉を縛るものにもなるような気がする。

物語のクライマックスでは、おきんと太郎吉が再会するシーンがある。
ずっと会えない中で本当にようやくやっと再会できた。
思い返すと、一作目でもあった再会シーンと似ているかもしれない。あの江戸にて再会した2人が柄杓でいちゃついてた寺?じゃないかと思った。

場所は同じなのに、全然違う。
もう全然違うところまで来てしまったのか。一度は全てを投げ打ってお互いの結ばれる方に進もうとする。しかし雷鳴が轟き、おきんには雷電への歓声が聞こえる(心情か)と、自ら離れようとする。
違うところまで来てしまったということを言って去っていく。
ここに来る前までは親方の説得があろうともここまで会いに来た2人であるが、ここにきて別々になってしまった。
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