のんchan

アダプション/ある母と娘の記録ののんchanのレビュー・感想・評価

4.1
ハンガリー出身の女性監督、メーサーロシュ・マールタの名を世界に知らしめた傑作。

いや〜これは素晴らしい。
正に女性映画です。女性の微妙で複雑な心理が、ややもすると手粗い描写と感じる部分もあるが、それはお国柄や、時代は1970年代の制作であり「プラハの春」が終わっても何か惰性的な時代だったせいもあるのかも知れない。


43歳になろうとする未亡人のカタは、工場勤務で収入は安定し夫と暮らしていた家がある。
妻子のいる男と5年の不倫中。健康診断を受けて自信を持ち、不倫相手に「子供が欲しい」と訴える。
受け入れてもらえることはなく、その鬱憤を抱えていた時、親に見離され寄宿学校で生活している若いアンナと出会い、瞬く間に不思議な友情が芽生え、擬似母娘のような関係で心を弾ませていく...


当時のハンガリーの社会情勢、男尊女卑(不倫男の妻は家政婦のよう)育児放棄、女性の自立...色々なテーマを感じとれる。

モノクロの世界観だからこそ浮き彫りになる不安感や反して肯定感すら感じられる。

主演2人の目力に圧倒された。
ラストはハッピーととるかは観る者次第というのも良い終わり方だった。

この監督は深掘りしたい。
のんchan

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