あつぼう

今宵、フィッツジェラルド劇場でのあつぼうのレビュー・感想・評価

3.5
実在の人気ラジオ番組「プレイリー・ホーム・コンパニオン」をモチーフに、番組の名物司会者ギャリソン・キーラー本人が手がけた脚本を豪華キャストでロバート・アルトマン監督が映画化。ロバート・アルトマン監督は、2006年11月20日にこの世を去ったのでこの映画が彼の遺作となりました。アルトマンはカンヌ・ベルリン・ヴェネチアの3大映画祭でグランプリを獲得してながら、アカデミーでは5回のノミネートに終わってます。この映画も例外ではないのですが、ロバート・アルトマンといえば群像劇って思えるぐらい彼の映画は喜怒哀楽に満ちた人間模様を描き出してました。

公開ラジオ番組って見た事も聞いた事もないのですが、凄く懐かしい雰囲気で心温まる音楽に溢れてるんですね。日本でもこの公開番組は聴けるらしいのですが、ラジオに詳しくないので説明を読んだけどチンプンカンプンでした。
最終回を迎える公開ラジオ番組に出演する人達の喜怒哀楽豊かな表情が良かった。長年続いてきた放送が終わるって悲壮感はなく、終わりは全ての始まりって感じで生き生きとして最後のステージを楽しんでました。個性的な面々で愛すべき人達でした。
この映画ではカントリーソングがメインやったのですが、これほどカントリーソングが心地いい映画もそうないです。
公開ラジオ番組のCMなどのシーンもあったけど面白いですよ。
言葉だけで商品の良さを伝えなければならないから大変ですよね。

群像劇って刺激のある会話やちょっとしたブラックユーモアがあると面白いですよね。もうそれがないと群像劇の苦手な人は絶対に睡魔に襲われます。
この映画では「死」がところどころで扱われてるけど、一つの死の場面で「老人の死は悲劇ではない」と語るシーンが印象的でした。謎の美女(死神)の登場もあり、なんか観終わった時にアルトマンは自分の死を予期してたのかなって思いました。
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