サトタカ

ポエトリー アグネスの詩(うた)のサトタカのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

「バーニング」で感動してイ・チャンドン監督の作品をもっと観たくなりレンタルした「ポエトリー アグネスの詩」。
まずこのタイトルが一見してあんまりおもしろくなさそうなところがスゴい。どうやらあえてそうしているらしいです。どんなチャレンジw

この作品も説明的なセリフなどが非常に少ないため、初回ではそこまで感動できなかった(正直理解できなかった)のだが、見終えた後に解説やメイキングなどで意味がわかるとじわじわと感動が…。

空気読まずに気ままに発言しちゃったり、話し合ってる最中にフラッと離席したりする主人公のミジャ。
妙に派手な服でオシャレしてるのも見ていて心がざわつくのだが、(美しい花を愛する少女のような心を大切にしている)彼女なりに、経済的に苦しい毎日を少しでもよいものにしようとしているのだろう。

密陽女子中学生集団性暴行事件をモチーフにしているのだが、これがまた重い。悪質すぎて、Wikipediaを読んでいるだけで吐き気がしてくるレベルだ。

だが、「ポエトリー アグネスの詩」では直接その事件を描かず、真摯な詩作を通して、被害者の気持ちを慮り、やさしく寄り添い、孫が犯してしまった罪の責任を取ろうとするミジャをある意味「美しく」描いていた。
苦しんで苦しんで初めて完成した詩が、最後の作品となってしまう切なさ。加害者の祖母からの被害者への手紙。贖罪への願い…。

音楽や効果音無し、そして見事な手持ちカメラや固定カメラの使い方。
このシーンはこんなに写すのに、ここはこんなにサラッとなのか〜、監督、意地悪かぁ?とモヤモヤさせられる絶妙な編集…。

非常に悲しいストーリーではありますが、本当に傑作だと思います。
サトタカ

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