ペイン

ポエトリー アグネスの詩(うた)のペインのレビュー・感想・評価

4.5
イ・チャンドン作品の中でもとりわけ静的で、こちらが能動的に観ることを要求される作品で、こちらのFilmarksでのレビュー数極端に少ないのは納得。

ストーリーテリングとしての凄み、面白味のようなものは確かに”一見“抑えられているものの、やはりこれはこれで実に味わい深い最も”品“のあるチャンドン映画。

冒頭、水死体が映し出されるまでのアバンタイトルで、ある種の“格の違い”を見せつけられた感がある(※エンディングともしっかり対になっている)。

釜山で働く娘に代わって中学3年生の孫の面倒を見ている66歳の主人公が、徐々に詩の世界に魅せられていくわけだが、彼女は介護ヘルパーでもある。

金持ちの半身不随の爺さんが、突然介護している主人公の婆さんに“死ぬ前に最後にわしも男♂になりたい”とせがむ(※事前にしっかりバイアグラも接種)シーンはなんとも滑稽だった。

イ・チャンドン映画は、パッと見表面的にはすごく端正なのに、本当にこれでもかと見たくない人間の醜態や業が詰め込まれているから感服してしまう。
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