このレビューはネタバレを含みます
2010年カンヌ国際映画祭 脚本賞、エキュメニカル・スペシャル・メンション 受賞
66歳のミジャは、娘から預かった孫の面倒を見ている。
その孫が友人5人と共に、自殺した少女のいじめに関与したとして、各自の保護者が少女の遺族にそれぞれ500万ウォンの示談金を支払うことになった。
生活保護で孫と生活するのがやっとミジャには、払える額ではない。
途方に暮れる彼女は、病院でアルツハイマーと診断される…という話。
「オアシス」「バーニング 劇場版」のイ・チャンドン監督作品。
静かでゆったりした時の中で、ミジャが、詩の言葉が降りてくるの求めて彷徨うドラマ。
しかし、これはもはやホラー。
ミジャの周囲にいる人々の態度が、理解を越えていてサイコパス。
自分の死が頭をよぎる年齢になってから観ないと、難しいかもしれない。詩心の萌芽が見られるかどうかにかかっている。
終盤、自殺した少女と自分とを重ねるミジャの詩作は、マルグリット・デュラス監督や佐藤真監督の映画に通底する亡霊性(浮遊する声、不在の幻影、いま・ここにない)に近いものを感じる。
予告編
https://www.youtube.com/watch?v=F9Mwxhhzu6U