ゆず

ポエトリー アグネスの詩(うた)のゆずのレビュー・感想・評価

4.1
心を揺さぶられる。傑作
メモに雨粒が貼り付いていくシーンの美しさ。

川の流れは非常に平和に見えるし、美しく見えますが、すぐその後に少女の死体が写ります。日常によくある平和だとか美しいということが、ある瞬間にとんでもない苦痛が共にあるということを示したかった

ミジャは最初に詩を書こうと努力をします。目に見える美しさ、花や鳥のさえずりや、そういうものを書こうと努力しましたが、そういうものだけでは詩にならないことを悟っていきます。自分は一生懸命美しいものを探そうとするのに、生きていく中には醜いもの、汚いもの、苦痛なもの、そのようなものを通り過ぎたあとに美しいものに行き着くのだということに苦しみながら近づいていきます。結果的には死んだ少女の苦痛を自分の苦痛として受け入れて一編の詩を残していくわけです。死んだ彼女が残すことができなかった心や言葉を代わりに詩として表しました。

詩や小説のように文字で表現された、目に見えない美しさを探す試みをした。
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