未見であったイ・チャンドン作品をレトロスペクティブにて。4Kレストア。
うわぁーエグられた。
本作に関しては(というかイチャンドン作品はいつもそうだが)おいそれと、拙い言葉に書き記すことが憚られる。
まさに劇中のミジャの気持ち。手短にいきたい。
題材的には近年よく観られる様なテーマなのだが、１０年以上前で、そして、この視点。圧倒的だった。
こういう現実に、映画や創作がどのように向き合えるのか？
何が出来るのか？そもそも何も出来ないのではないか？
痛ましいリアルをフィクションで描くことの成否とは？
いち創作者としての自問自答と葛藤を、ひとりの老婦人の視点を通して、誠実に作品に込めらている。
本作に限らないのだが、すごくシリアスなシーンでも、笑って良いのか判らない絶妙なユーモアとアイロニーが混じり込むのが、イ・チャンドンの魅力でもあると思っていて、本作も時折クスリとさせられる。
主演のユン・ジョンヒが本当に素晴らしい。惜しくも今年の明けにフランスで亡くなったそうだ。ご冥福をお祈りします。
