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ポエトリー アグネスの詩(うた)のmomopipiのレビュー・感想・評価

5.0
映画監督にも飛び抜けた存在ってのがいると思うけど、この監督もその1人だと思う。

詩の教室に通うことになった主人公は問いかけられる。「私たちは‘‘本当”に世界を見ているのか?」

ここから主人公は詩を書くために世界をより敏感に捉え、様々な想いを感じとる様になる。同時に、今までの自分なら感じずに済んだであろう‘‘苦しみ”や‘‘哀しみ”に直面する事になる。つまり世界を感じるとは知らずに済んだ痛みを捉える事でもある。

こんなに皮肉たっぷりなストーリーなのにイ・チャンドンは決して意地悪な映画にしない。このバランス感覚がハンパないと思う。

中盤、主人公視点のショットがあるのですが物語の構造上、間違いなく‘‘ある”意味が込められています。このシーンは本当にゾッとしました。ここは本当にヤバかった…

世界をより感じる事は、悲しみや苦しみをより感じる事でもある。それが幸福かどうかは分からない。ただ、その心の叫びを言葉にすることは間違いなく価値がある。
そんな映画だった!大傑作!
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