モンデン

ポエトリー アグネスの詩(うた)のモンデンのレビュー・感想・評価

4.1
ラストシーンが鳥肌もの。
本作の全てはそのためにあると言っても過言ではない。
あまりの美しさに感動を通り越して畏怖の念さえ湧き上がってくる。
僕自身、詩にはまったく興味ないが、ミジャが紡ぎ出した詩には心打たれた。衝撃だった。

韓国の巨匠イ・チャンドン監督作品の基本、主人公のミジャは社会的弱者である。
そのミジャに追い討ちをかけるように悲劇が襲う。
何度も何度も。
しかし悲劇と相対するかの様に映像は美しい。
ミジャの不安や哀しみを際立たせるために。
愚かな人間を突き放すかの如く世界は美しいのだ。

ミジャにとって絶望しかないであろうこの世界で、彼女は詩を書くために美しいものを捜す。
ラストの詩は彼女が世界と向き合った結果生まれたものである。
ミジャの魂と呼ぶべき詩と、自殺した少女の魂がシンクロし、オープニングの川に戻ってくる。
振り返る少女の微笑、それが意味するのは喜びか諦めか。
一生忘れられない風景だ。


2015年9月9日 DVDで2度目の鑑賞
モンデン

モンデン