ハマジン

ベイビー・イッツ・ユーのハマジンのレビュー・感想・評価

ベイビー・イッツ・ユー(1983年製作の映画)
3.0
高校演劇部の部長とシナトラ好きの学校のはぐれ者との恋(にしてもロザンナ・アークエット側は端からそれほど乗り気ではない)と、その後のパッとしない生活。かたやプロム当日ケチな強盗事件を起こしてマイアミへ逃れ、年金生活老人の集まるバーで皿洗い件歌手となり、かたや大学に入学して「主役」から外れ、友達も少なく、寮仲間とのダブルデートでへべれけに酔っ払ってみせたり、葉っぱを吸ってぼんやりしたりしているだけ。ひたすらパッとしない。
初デートの退屈な時間に偶然居合わせた、球技の得意だったかつての同級生。プロムの二次会の最中、鏡を割って手首を切ろうとした友人。大学食堂のメニューが「豆ばっかり」とぶつぶつぼやき続ける女学生。二日酔いの朝、代わりに電話をかけてくれる同寮生。記憶の片すみに引っかかる、印象的な脇の人物たち。
人生で自分たちが「主役」になることはないのだ、とうすうす気づきはじめた二人が、それでもシナトラ『夜のストレンジャー』をバックに抱き合ってダンスをする中、それまで地べたから離れなかったカメラがスゥーッと上昇するラストにはグッときてしまった。
冬の海辺の閑散としたダイナー、マイアミのネオンの光がブラインドから差し込む部屋の孤独。撮影ミヒャエル・バルハウス。
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