シスタールゥ

鳥の歌のシスタールゥのレビュー・感想・評価

鳥の歌(1995年製作の映画)
5.0
現代アートハウス入門シネマネコさんで。
ホルヘ・サンヒネスの名前もウカマウ集団の名前も初耳。チラシの写真1枚で観に行くことにしたけど当たりだったな!
ボリビアを侵略したスペイン軍の映画を撮影しにボリビアの山間の村に侵略していく撮影隊という皮肉な構造。
冒頭の映画の中の映画のシーン(仮面をかぶって行進しているシーン)がすごく幻想的で素敵で美しくて最高でしたね。全く知らない監督だったけど、こんなすごい画が観られるなんて!とワクワクしました。
映画の中で映画を撮っていて、現地の人との衝突も切り返しながらみていると、私が今観ているのは映画なのか、ドキュメンタリーなのか、その境界がグラグラとしてくる感覚がすごく楽しくて心地よかったです。

村で行われる「鳥の歌」というお祭り。これがすごくいい設定で、解説の太田さんも本当にある祭りなのかどうかは直接確認していないししなくていいと思っていると仰っていましたが、そのシーンが本当にすごく良かったんですよ、インディオの人たちの表情が素晴らしかった。きっと村の人とか素人だろうけどあの表情が引き出せるって本当にすごいと思うんだよな。とても幸せな気持ちになれた。鳥の歌を聞いて音楽家が音楽を授かるっていうお祭りで、はりぼての鳥の作り物もいい雰囲気だしてて最高なシーンでした。
そのお祭りにも皮肉をぶっこむのも面白かった。でもそうすることによって、その村とか土地・場所は汚されていないんだ、っていうようにも感じられ、皮肉なんだけどでもそうだよね、そうなってもおかしくないよねっていう心が広くなれるような気がしました。トークで小田香さんが何度も内省という言葉を使っていましたが、そうだよね、自分を見つめなおすよねこれみてると、とウンウンとうなずきが止まらなかったです。

私も最近毎日毎日キリキリしているけど、この皮肉の描き方がギスギスしていなくておおらかな空気を持っていたのでそういう風に生きていきたいなと思いましたね。

ウカマウ集団の作品ももっと見たいな!!!

太田昌国さんと小田香さんのトークで理解も深まり、最高の映画体験ができました。