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フライトナイト/恐怖の夜のmuscleのレビュー・感想・評価

フライトナイト/恐怖の夜(2011年製作の映画)
5.0
冒頭のラスベガスの近くの「偽物の街」って設定だけで傑作なのを確信する。昼間の暮らしは嘘だらけ、学校のみんなは夜の暮らしで生計を立てていて、転校していくクラスメイトが多すぎて幼なじみが貴重な存在。そして父親のいない主人公にはとんでもなくキュートな彼女が…。持てるものは持っているけれど、何かをちゃんと持っているかといえば何も持っていない気もする。そこに3Dのハレーションで表現される偽物の街を包む夜の光、テレビCMではいんちき魔術師がやってきたとかなんとか。3D映画「である」ってことから逆算して自覚的であるように思える舞台装置の全てが素晴らしい。

しがみついてくるクリストファー・ミンツ=プラッセが醸し出すアパトーギャング映画感もたまらない。クリストファー・ミンツ=プラッセだけ蘇らずに死んでいくし。そして全編3D撮影の潔さなのか、とにかくカメラの回し方が豪快。おもうに3Dってのは室内の細かい運動表現に適している。怪しい屋敷の階段をのぼってり、角を曲がったり、部屋の扉を開けまくったり、地下室に落ちたり……。白眉なのは当然車内でぐるんぐるん回転するカメラなんだけど、映画としてのギアがヤバすぎて、あそこすらまだ中盤だっていうのが嬉しい。
ラスト、敵の中心地のど真ん中に光が差し込むから吸血鬼が近づけない安全エリアになっているって設定がジョジョのバトルっぽくて嬉しい。とにかくアイディア豊富なこの映画、リメイク元含めて荒木飛呂彦が絶対好きだと思う。
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