ルサチマ

伊賀野カバ丸のルサチマのレビュー・感想・評価

伊賀野カバ丸(1983年製作の映画)
4.8
漫画実写映画なら鈴木則文に敵うものはいない。『ザ・サムライ』同様に一切の人間ドラマを捨て去り、映画的活劇を生むエピソードの断片をぶつけて構成する荒唐無稽な展開なのに、エキストラ含めて全員が荒くれ者のカバ丸を応援する姿に勇気を貰える。

京都への修学旅行で訪れた映画村で誘拐されたヒロインを取り戻すために敵味方その他を巻き込んだコスプレバトルを繰り広げる中盤から破綻は最高潮に到達し、その後ヒロインを取り戻した感動はつかの間、敵対する高校と近代競技5番勝負と題された、高跳び、水泳、競馬、早食い競走、カーロデオへとあれよあれよと進展する(種目の選び方がトリッキー過ぎるが最早そんなことに一々反応していたらキリがない)。

鈴木則文は荒唐無稽さをただめちゃくちゃに並べるのではなく、一つ一つの競技を的確に高低差やサスペンスの緊張、カーアクションのカット割を演出しているからこそ真の職業監督であり、この当時の東映スタッフの本気が結集していて感動する。

川辺のシーンなんて本当に見事な撮影で、当時の武田久美子の美しさを堪能させてもらえる。
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