佐藤克巳

喜劇 駅前団地の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

喜劇 駅前団地(1961年製作の映画)
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成瀬巳喜男「鰯雲」と同じ東京郊外のベッドタウン化する近郊農村の農家伴淳三郎一家、地元で医院を営む森繁久彌の一家、加えて淡路恵子ママの居酒屋が主な舞台の、風俗作品の名手久松静児監督の軽妙喜劇の傑作となった。洗濯屋配達中の坂本九の軽快な歌に始まり、東京から土地仲介人フランキー堺が内科医淡島千景を乗せて百合ヶ丘に乱入、自動車事故が起こり騒動が展開する。伴淳の息子山内賢と後妻森光子が初々しい演技が新鮮で、森繁と伴淳のアドリブの効いた掛け合いも見事で、躍動期昭和の原風景に郷愁を感じない訳にはいかない作品となった。
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