イチロヲ

逆噴射家族のイチロヲのレビュー・感想・評価

逆噴射家族(1984年製作の映画)
4.0
念願の一軒家を購入した家族が、ヘンテコな祖父(植木等)の暴走行為を口火にして、家庭崩壊の一途を辿っていく。長谷川和彦、高橋伴明、石井聰亙、小林よしのりなど、強力な布陣が携わっている、不条理コメディ。

最初のうちは大仰なコミカル演出に疲労感を覚えるが、各人物の異常行動に拍車が掛かると、その珍妙な雰囲気に引きずり込まれていく。すべての演者がMVPレベルの狂人ぶりを発揮しており、「映画で狂人を見ることほど、面白いものはない」を痛感させられる。

とりわけ、小林克也が全力疾走しながら会社から帰宅するシーンと、植木等が当時13歳の工藤夕貴を亀甲縛り(亀甲になっていないけど)するシーンが素晴らしい。今となってはアウトな演出と台詞まわしが頻出するため、不適切な面白さを満喫することができる。

「家族生活には一蓮托生の精神が大切である」という教訓を、阿鼻叫喚の過剰演出で提起している珍品。列記とした日本産ニューウェーブ映画であり、「スネークマンショー」に反応する人は、問答無用で「絶対に観ろリスト」に入れるべき。
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