トランティニャン

逆噴射家族のトランティニャンのレビュー・感想・評価

逆噴射家族(1984年製作の映画)
4.0
念願のマイホームを持った家族(平凡なサラリーマンである父、色情魔っぽい母、受験勉強に明け暮れる息子、プロレスラーかアイドルになることが夢の娘)が、おじいちゃんが来訪した辺りから徐々に精神を歪めていき、なんか、気付けば殺し合っているっていう、疾走感溢れるパンク作。

『ベストヒットUSA』でおなじみ小林克也が主演、植木等とATGっていう時点で驚きだったけど、よくクレジット見たら、これ、小林よりのり原案・脚本。
過剰なまでの馬鹿馬鹿しさとシニカルな批評性が同居してる様は、確かにぽいなあと思う。
『ドッグヴィル』ばりのラストの解釈にはちょっと驚かされた。

あと、家族ものでキーとなるのは食卓。
この映画も、父親が食卓にでっかい穴を開けて、地下室作ろうとしちゃうわけだから。
それは家庭というものの、はたまたマイホームを買った自分に対する破壊衝動以外の何物でもない。
そして、「個室」だけは保持され、個人の闇は肥えて暴走に歯止めが利かなくなる。