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サラエボの花のmhのネタバレレビュー・内容・結末

サラエボの花(2006年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

日常生活を描写することで、間接的にボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を描くファミリードラマ。
父親が殉教者(シャヒード)であれば、修学旅行の費用は免除されるから、早く証明を持ってきてよという娘の視点と、修学旅行の費用を捻出しようと夜勤も始めて黙々とがんばる母親の視点が交互に描かれる。
背中の傷とか、掘り起こして遺体確認とか、女たちだけでミーティングしている意味がだんだんわかってくるようになってるんだけど確信には至らない。クライマックスですべての疑問が氷解する。それがあまりにも過酷。
学のある者が戦争に巻き込まれて半グレみたいになって、戻りたくても(同級生が幼く見えて)学校に戻れないとか、めちゃリアルだった。
知的な顔つきで、半グレみたいな風体がとても良い。このキャラ造形は素晴らしい。
つまり母親にとって、用心棒の彼との恋愛は……とか考えると切なすぎて考えたくない。古今東西親の心子知らずなんだろうけど、この親子にいたっては、お母さんが圧倒的にかわいそうすぎる。
女性が丸坊主にするシーンはやっぱりはっとする。
同級生たちの歌声に声を重ねるラストカットに救われた。
面白かった。
mh

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