「サラエボの花」
娘の修学旅行代を稼ぐために夜職をするシングルマザーと年頃の娘を描いた作品。紛争から数年が経っても尚、癒えない戦争の傷跡を描く。
母親は序盤から急に怒り出したり、体調が悪くなったりと何かしらの不安定要素を孕んでいる。
これが紛争によるものであることは何となく想定がつくが、ハッキリとは見えてこない。そのまま、周りの人間や娘との関係性も不安定になっていく様が観ていて痛ましかった。
誰にも言えないような大きな悩みを抱えながらも生きていくしかない。彼女達に課せられた負担が大きいことに変わりはないが、希望を見出せるようなラストで締めくくられたのが唯一の救いか。