マーくんパパ

裸の十九才のマーくんパパのレビュー・感想・評価

裸の十九才(1970年製作の映画)
3.7
永山則夫事件を題材に北の貧困家庭から集団就職で上京した16才の少年が都会の暮らしで屈折していき、米軍基地から盗んだ銃が唯一の拠り所となって暴発していく様を、当時の時代背景と過去の育った環境を織り混ぜながら貧困がもたらす悲劇として描いている。言葉の壁、低賃金労働、親身に相談できる友人が出来ない等で離職を繰り返すうちに自暴自棄に陥っていく。世は安保闘争、学園紛争で不満のエネルギーが外に爆発している様を見て自分も鬱積したものを吐き出したい衝動の中で手に入れた拳銃一つが唯一無二の親友となる。そこに至る辛苦の貧困家庭を描かないと情動が理解されないから北海道、青森と転地しながら母乙羽信子の苦労をカットバックで挟むが、ちと長い。同じ集団就職組の『ALWAYS3丁目の夕日』六ちゃんは受け入れ先の家族の愛情で立派に成人していくのと対照的。