阿蘇の坑道に潜んでいる巨大トンボの発見を前兆として、翼竜の大怪獣ラドンが飛来してくる。人気怪獣「ラドン」がデビューしている、東宝特撮映画。史上初となるカラーフィルムで撮影されている。
炭鉱の町という閉鎖空間から異変が始まり、どんどんスケールアップしていく展開が面白い。水爆実験にも言及しているが、どちらかというと地球温暖化を問題提起する方向性。今現在まで地続きとなっている普遍的問題のため、その先見性に驚かされる。
「ラドンの全体像を極力映さない」という演出が用いられており、地上のあらゆるものを吹き飛ばしながら音速で飛行していく、ソニックブーム描写に一喜一憂することができる。とりわけ、瓦屋根がバラバラと散っていく描写に特撮の真髄が垣間見られる。
絶命する怪獣の姿を長尺で描くというショッキング映像に訴求力をもたせて、鑑賞者(とくに子供)に命の尊厳を考えさせる。ドラマ内で安易に解決せずに、思考を促してくるところが素晴らしい。