【預金利率8%】
なぜ、この映画が重要かというと、エピソードの面白さはあるとしても、実在の人物をモチーフにイカサマ師のような女性がいたことを伝えるというより、第2次世界大戦前のフランス社会が、いかに一般市民をバカにし、持てる者が持たざる者を搾取していたのかが判るところだと思う。
この時代のフランスの市中銀行の預金利率1%に対して、エンマの銀行は8%で反感を買ったという話だが、世界恐慌もあり、第2次世界大戦を目前にしていた頃、金利はもっともっと高かったはずなので、市中の他の銀行は利ザヤで儲かりまくっていたはずだ。
だから、8%の預金利率でもエンマの銀行は一定の利ザヤを確保することが出来る程度だったと云うのが事実のように思う。
これは、マルト・アノーという実在の人物がモデルだが、ストーリーは彼女のヒストリーと結構異なっている。
当時のフランス社会が、おかし気な状況だったことを強調するためだと思うが、こうした政治や銀行が結託して人々を搾取する状況があったという事実を知らせようとする試みは、かなり成功しているのではないかと思う。
普段のニュースを見て、利ザヤなんかを考えることがない人には、つらいストーリーかもしれないが、僕は面白かった。