振動と鼓動が重なったときには、ブレーキは取り外されていたのだと思う。
言葉少なげに、表情で語るように、
単調な物語は、画と音で動く。
ギアチェンジのような鮮血と脳髄もまた、この世界の主人公であるかのように雄叫びとともに飛び出る。
自罰的で自虐的なナルシシズムに免罪符が与えられたような快感。
薄汚く悪臭放つみじめなプライドに、すがってもよいのだという肯定感。
激情は、ただ在るものとして。
誰かの影として。
口さえ噤んでいれば
社会の縁に掴まっていられる
少しの間やり過ごせばいい
高架線の下でヘリが去るのを待つように
このキスには祝福もないが罪もない
ドアが開くまでにどちらかが死ぬ
速度超過が身を守ることもある
深く踏み込んだアクセル