ヤマナカ

さらば、わが愛 覇王別姫のヤマナカのレビュー・感想・評価

さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)
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久しぶりに長い映画を観てちょっと疲れたが、指の六本ある少年が担ぎ込まれる劈頭のところから惹きつけられる。映画というメディア=芸術がそうであったように京劇という芝居=芸術も日本軍占領下、国民党政権、共産党、そして文革の時代へと極めて権力と密接に関っているさまが映し出され、「覇王」項羽の四面楚歌を時々の軍隊が包囲し見つめている。

化粧を落として漢服を着、アヘンを吸い、後にはその禁断症状の発作に苦しみ暴れることになるレスリー・チャンの一挙手一投足に目を奪われる。そして何より文革の中で「自己批判」を迫られた夫の小樓が自分を愛していないと言わされてしまうことから自死を選んだ妻の菊仙がレスリー・チャン演ずる蝶衣に向ける眼差しが素晴らしかった。
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