いかえもん

さらば、わが愛 覇王別姫のいかえもんのレビュー・感想・評価

さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)
4.2
昔、漢文の授業で四面楚歌を習った時に「虞や虞や汝をいかんせん」ってなんて切ないんだろうと教科書読みながら感動した。それを京劇としてベースにし、激動の時代を背景に同性愛を絡めた3人の男女の愛憎劇。

幼少時代からの背景一つ一つが重く、過酷な運命をたどるレスリーチャン。兄と慕っていた幼馴染の京劇の相手役を好きになってしまっても、その気持ちが伝えられるのは劇の中だけ。切ない。

この映画の見所はレスリーチャンとコンリーの演技合戦。2人のシーンは画面からその時々の二人の思いがあふれる感じ。嫉妬であったり、お互いに同じ気持ちを抱えていてわかりあえそうになったり、やっぱりそれが怒りに変わったり…。

しかし、2人に愛されるチャンフォンイーがそんなに魅力的でないというのが、恋の不思議なところ。私から見たらどこがええねん、あの男?なんですけど、2人にしか見えない魅力がチャンフォンイーにあるということなんだろうな。

映画全体として、時代の大きなうねりも感じられた。