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さらば、わが愛 覇王別姫のレオンのレビュー・感想・評価

さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)
3.8
見逃し高評価品(パルムドール受賞作) (★平均4.2 UNEXT見放題)   京劇役者を目指す者たちが、歴史に翻弄され、紆余曲折を乗り越え歩んでいく物語だが、鮮烈な序盤に対し、それ以後はやや冗長にも感じる。 
が見る価値ありな力作。

冒頭、少年期の描写は主人公の哀愁極まる生い立ちや、苛烈な修行・体罰に目を見張るシーンが続き、特に本物の京劇舞台を見た二人が自分達の修行がどれほど、素晴らしい物に繋がるかを再認識するシーンは見てる方も目が潤んだ・・。

この少年期シーンに、流石★4.2もある高評価作品(4K版は★4.4!)、これからさらにどう展開するかと、序盤以上の期待が膨らんだが、徐々に意気消沈するシーンも・・。

大王を演じる小楼が妻をめとってから、姫役の蝶衣が同性愛者の為、3角関係の愛情表現シーンも増え、芸術性高い歴史ドラマより恋愛ドラマとしての要素が多い描写に冗長を感じ、心が動かないパートが徐々に増してくる。
(小楼(夫)とその妻が、日本の元アイドル「城島茂」と芸人「ユリヤン」に似ていて、気になったのも一因か♪)

が中盤、横暴な中国軍人に対し、礼節をわきまえる日本軍人という様なシーンがあり、中国・香港・台湾合作品で、よくこんな表現を許容したな・・と関心する事も♪

その後、終盤に向かうにつれに違和感を醸すシーンが、増えてくる。 共産主義思想に京劇が堕落文化とされ、群衆面前で公開処刑かと思わせる様な演出なのに・・それだけ?
その後も唐突な描写で、配信なので再確認して納得も、劇場での一回鑑賞なら、疑問が残ったままだったろう・・。

ラストも11年ぶりの再開後に、なぜ・・と思わせるエンディング。 私流に悪く表現すると、かってに考察してくれエンド。

レスリー・チャンが艶姿で声高に歌うシーンが何度も盛り込まれ、その美しさで芸術作品を醸す雰囲気に、評論家受けは抜群と思う。  が、京劇そのものには圧倒的に感じる物が伝わらず、一般観衆が経過時間を早く感じるほどの面白さは伝わらないと思う。(私もその一人♪)

が、まるで史実と思わせる物語に、先日鑑賞した「オッペンハイマー」同様見た充実感は残る作品。 一見の価値ありで★3.8。
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